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いきなりファンタジー とまらないっ><
彼女が森に入ると すぐ何かに見られてるような気がしたが

なぜか恐怖は無かった

そのまま出来るだけ まっすぐ突き進んだ


森を迂回して 街道に出るほうが安全だが 

彼女は村の者に見つかって連れ戻される事の方が怖かった


両親の前で人間で無い自分になってしまう恐怖


それに炎天下をこれ以上歩くには 喉が渇き過ぎていた
 

しばらく歩いて ふと見上げると空が僅かに見えるだけだ 

代わりに何処までも深い緑の光が満ちている




ホーーーホゥ 
コーーークワッ



聞きなれない鳥の声がする 

色々な音がするのに すべてどこかに吸い込まれていく 

何百年も人に侵される事なく 時を過ごしてきた樹海


コケむした巨木の根がいくつも重なり

短い距離を歩くだけで息があがってしまう


とりあえず水を探さなければ。


泉はどこにあるだろう?


ふと 子供の頃のある風景を思い出した 

村にくる行商のおじさんが 

長い蔓のついたままの芋のような実を 集まった子供達に見せていた


彼はたまにやってくる定期の行商人で 自身も近くの村にすんでるんだろう

タミルの村の子供達を可愛がって 旅の途中で見つけた物を見せたり 

色々な話を聞かせてくれた・・


小太りで 日焼けで真っ黒な顔をしていた 笑うと白い歯と目じりのシワが際立った

『森で迷子になったらコレを探すんだぞ この実の中は空洞で水が沢山入ってるからな』

丸い顔が にっこり笑うと ますます丸く感じられた

小さく頷くと  おじさんはそれを彼女に手渡した。



(どんな葉っぱが付いていたっけ???)


他にも色んな話をしてくれた・・・


あの水の入った実 おじさんが森で迷子になった時の話 旅の目印になる星座の話・・・



(アッ そういえば 

(おじさんの台車に積んである 水がめの模様と似た葉っぱだぁ) って思ったんだっけ )






「・・・・・どんな模様だったっけ?」



記憶を探るように辺りを見渡すと それは意外と簡単に見つかった 

多分これかな? と思われる葉っぱの付いた蔦は

白い大きな木には必ず絡まっていた

蔦をたどって地面を探して そこを掘ると 芋ずるしきに何個か実が取れた


古い記憶の中の木の実と似ている


水が飲めるかもしれないという興奮と 自分の小さな発見が嬉しくて

疲れてなければ 飛び上がりたい位だった

彼女が それほどこの木の実に気を取られてなければ

風のせいではない木の葉の擦れる音と 


黒い影が静かに彼女の背後に回ったのに


もしかしたら 気が付いていたかもしれない



石を使って 亀裂を入れ 半分に割ってみると中の小さな空洞から 少し水が出てきた

思ったより少ないが飲めそうだ

空洞の周りは 白い弾力のある果肉がついている 


少しかじってみると あまり味はしないが これもなんとか食べられる


もう一つの木の実を慎重に割ると 中の水を喉をならして飲んだ


その時 知らない内にとても敏感になっていた彼女の鼻が 何か獣の匂いを嗅いだ


本能で危険を察知して 大きくジャンプしたのと 

犬の顔をした豹のような獣が飛び掛ったのは殆ど同時だった

が 彼女の方が少し遅かった


獣は彼女の着ていた寝巻きの袖を縦に引き裂いた



ハラリと白い肩が現れた

血は出ていない

彼女はそれを素早く確認した



血が流れたらヤバイ。


本能でそう思った。




踵を返して 獣が襲い掛かる

彼女もスタートを切った

木の根が邪魔になる

すぐに足を取られてしまった

膝をついて転んだ彼女の上を 黒い影が飛びすぎる

転んだ時したたかに膝や腕を打ったが 跳ね起きて 豹が着地したのと反対の方に走る

この 木の根ばかりの樹海に

しなやかな体を持ち 屈伸能力が発達している犬頭の豹は 

とても優秀なハンターと言えるだろう



逃げる彼女の背中に 豹が鋭い爪で襲い掛かった



背中に衝撃が走った


血が!


匂いで他の獣が来る!


豹が次の攻撃に入る前に 2メートル頭上にある枝に飛びついた


そのまま足を掛け枝に登り すぐさまその上の枝に移った 


振り向くまでも無く 豹も木に登ってくる音が聞こえた


夢中で上に上がり 随分細い枝まで登った



これ以上登れない所まできて ようやく振り返ると 豹は5・6メートル下で 唸っていた





汗がドッと吹き出した


『助かった・・・』




額の汗に ふと風を感じた   



火照った体が冷んやりした。  




その木は辺りの木より一段と高いらしく 


黒い森のはるか遠くまで見渡せた


背中からは血が出ていなかったが 触るとパックリ割れているのがわかる





助かったけど・・・・死んでまでその体を利用してしまった




今朝は どうしてもこの半身を自分の背中からむしり取りたい衝動に駆られて 


何も考えずに家を飛び出したのだった




だが やはりその勇気が持てない・・・   




豹はまだこちらを見ては悔しそうに唸っている



少し降りて 木の実をいくつかもぎ また上に登ると豹めがけて投げつけた


その内の1つが頭に当たると 犬頭の豹はチラリと一別を投げて ソロソロと木を降り始めた




豹が立ち去るのを見届けてから 彼女はもう一度森の奥を見渡した。



左には山脈があり 一段と高い岩山があって 


その側にタミルの村がすっぽり入るくらいの湖が見える。


今日はこの森で寝ることになるだろう できれば野宿したくはない


よく見ると その高い山から湖にかけて崖になっている所に小屋のような物があるのに気が付いた


何か分らないが とりあえず人が作ったものに見えるので それを目指すことにしよう


人が作った物ならば 道もあるかもしれない



辺りを見渡して獣が居ない事を確認して 慎重に木を降り始めた


だいたい 15メートルほどの高さに降りた時 


もしかして地表を歩くより木をつたって移動した方が安全かもしれないと思いついた


毒蛇や毒蜘蛛などに気をつけなければならないが 


方向を確認しながら進むためにも 木の上の方が良さそうだ 


彼女は慎重に枝を選んで その上を進んだ。





丁度 その湖が目の前に見え始めたころ 


彼女の背後に赤オレンジの空を残して日が落ち 

目の前は 見る見るうちに すっかり暗くなってきた


今から寝る場所は探せない


『あの小屋が見つかるといいけれど』


湖に近づくにつれ 小屋は木の陰に隠れて見えなくなっていた


最後に見たときには 大きくはないが屋根と壁の一部と柱が見えた


壁に囲まれてなさそうなのは残念だが 


他に寝る場所を探すより どうしてもそこに向かいたかった。



しばらく湖畔を歩いてその小屋を見つけた時 


既に空には月が輝き 辺りを照らしていた


月明かりで湖の水面がキラキラと輝いている




少し離れた所で狼のような獣の遠吠えが聞こえた

早く隠れる場所を見つけなければ・・・。

頭では焦っているのに

さっきから 何か懐かしい 切ない匂いを感じて 胸のドキドキが収まらない


月明かりの中


湖から静かに一人の男が出てきて 小屋に向かって歩き始めた。



男は 彼女を見つけた。 



この世の者とは思えない程美しい男の唇が動いた


『  ・・・・・アシュレーか?』

【 2008/11/06 21:55 】

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いきなりファンタジー  続き 
彼女は暗い森の前で立ちすくんだ  昼過ぎだろうか


とても喉が渇いていた。


荒地の赤い土が 急に濃い緑の草に被われて森が始まっている

きっと中には飲める水があるだろう

自分に見つけられるかなんて 行って見ないと分らない。



彼女が思い切ったように森に入った時  頭上を一羽の大きな鳥のような蜻蛉ような影が
通り過ぎた


影は タミルの村に向かっていた 

村の手前1キロまで来ると 見張りの男が 見慣れない生き物が近づいてくるのに気がついた

弓を持った3人がやぐらに駆け上った


一番大きな男が叫んだ

『射てッ!』


荒地から飛んでくる 得体の知れない物体は 殺るしかない

それは人間の子供大程もある蜂だった


蜂は 飛んでくる矢を次々とかわすと 弓を射ている者に向かってきた

知恵があるのか?それとも本能だろうか?

素早く射者の後ろに回ると 頭の付け根を長い針で刺す

先ほど叫んだ 一番大きな男が弓を持ったまま その場に崩れ落ちた

隣の若い男が 弓を槍のように構えて突く

だが 既に蜂はその男の後ろに回って 性格に首の真ん中に針を刺した

一瞬で2人の仲間が倒れたのを見て

残りの一人は変な声を出しながら やたら滅多に手足を動かして 

突然の襲撃から身を守ろうとした




次の瞬間 一段と羽音が高くなり 下からやぐらを見上げていた者は

真っ赤な血しぶきが上がるのを見た。



何処からか 「ひぃいいいいいいいいいいい」 という叫び声が聞こえた

もしかしたら自分の喉から出ている声かもしれない やぐらの辺り 通用門の前は

一瞬パニックになりかけた



50代だろうか 壮年にしては白髪が多いが まるで若者のような覇気をもった男が

見事な長刀を持って駆けつけ 通用門周辺 に居た村人を一喝した



『落ち着けっ!!!!戦わない奴は隠れていろっ!』



既に門は閉められていた 村に住む若い娘が今朝家を飛び出したのだ

村中で捜索していたが 門に来るだろうと思われたので 今 詰めている者に老人は居ない

落ち着けば腕に覚えのある者ばかりだ

この時代 荒地の中にある小さな村に住んでいるということは 

様々な化け物と戦ってきたと言う事だ



白髪の多い大男に一喝された村人は 既に冷静さを取り戻していた。


目に 戦う者の静かな力が宿り始めた



だが蜂は 高い場所から 彼らを見下ろして 今度は弓を射られても 攻撃しようとはしなかった

そのくせ 何かこちらを観察しているかのように ぐるぐる飛び続けている


『チッ あたらねぇ 』

小柄な男が目は蜂を向いたまま 隣の男に言った

『なんか ねぇか?』



『・・・・そーいやぁ マラータん所に網があったな』

問われた男も 蜂から目を離さない


『誰か マラータんとこ行って 網持って来るの手伝ってくれ!!』

小柄な男が 後ろに叫んだ


その途端 蜂が村の方に 向かって飛び始めた



『チッ 聞いてやがる』

小柄な男は 横目で蜂を見つつ 仲間の家に急いだ



蜂は速かった 村の中心に来ると そこで又旋回して 今朝家出した娘の家に向かって飛んでいった


家の者は居なかった いや 母親が一人娘の部屋に居た


母親がふと顔をあげると木の枠で囲われた窓の外で 大きな蜂がこちらを覗いていた 


驚いて小さな悲鳴を上げると


蜂は窓から姿を消し

そしてすぐ 下の階で 羽音が響く音がした

玄関のドアが開けたままだった!!

気が付くと同時に 部屋のドアを体で閉める と

ほぼ同時に 部屋の向こうで 蜂もドアにぶつかるのが分った


『誰かきてぇーーーーーーー』


必死でドアを抑えながら 大声で叫んだ。




壮年の白髪の男が 蜂を追って村の中心に来ると 危険に敏感な荒地の女達が 

既に数人あつまりつつあった


そして 蜂はあちらに行ったと皆が指差した時 パーミンダの母の声が聞こえた


蜂は何度かドアに体当たりをしたが 体重が倍もある人間の女に押さえられては開く物ではないし

ドアも頑丈に出来ている

すぐに見切りをつけ 狭い廊下を飛び回ったが 他に入り口はない 

下に降りたとき 丁度 白髪の壮年の男が家の入り口に立った所だった




蜂を見ると 男は 静かに長刀を構えた。




狭い部屋に蜂の羽音だけが響く 大きな蜂だった 5・6歳の子供くらいあるだろうか

羽も透明で軽そうなのに どこかしなやかな刃のように輝いている


蜂はその場で飛びながら 男の方を向いていた


男が鉈を素早く振り下ろした 蜂はそれを避けながら男の背後に回ろうとする

それよりも早く 男が振り向きざま長刀を横に振る

キンッ と刃の交わる音がした


蜂の羽は透けるほど薄いが 刃の様に硬いのだ


『ドアを閉めろッ』

後から追いついてきた男たちに言った

(側に寄れば切られるな) 


この狭い部屋の中では 自由に長刀を振る事が出来ない 

「得物を間違えたか・・」


場所は狭く障害物が多い  相手は飛べるし速い そして接近すると切られる


男は蜂を見つめたまま 静かに側にある衣装箱の蓋を開けた


一番上に厚手の毛布があった


『静かに2人はいって ドアを閉めろ。』



家の外に声をかけると すぐに小柄な男と若者が入ってきて 後ろ手にドアを閉めた


『コレをそいつにかぶせろっ』


壮年の男が毛布を2人に投げた 小柄な男が無言でソレを受け取って頷く

 
その時 蜂が 毛布を持っていない若者に向かって飛んだ 

同時に壮年の男が斜め下から右上に弧をかいて長刀を振り上げた 

蜂は 若者を襲う振りをして 踵を返し壮年の男に襲い掛かった

男はそのまま後ろに反り返って上向きに倒れると素早く回転して起き上がりざま クッションを構えた

蜂の尻から伸びた針が深々とそれにささったのを感じると

男はそのまま素早く起き上がり 蜂ごと壁に突進した

が 蜂は上に向かって飛びそれを避け 

再び毛布を持っていない若者に飛び掛った


待っていたかのように 小柄の男が毛布を蜂の上に向かって広げた


壮年の男と 若者が毛布の端を素早く掴んで下に下ろす

毛布がズタズタに切れ始めた

小柄な男が叫んだ

『早く網もってこいっっっ!!!!!!!』


2・3人が さし渡り10メートル四方は有りそうな網を4つ折にして運んできた

毛布が切れて隙間から 蜂が飛び出す前にようやく 網をかぶせた 


一番体のおおきな男が蜂の上から片足で思い切り体重をかけると


皆がいっせいに 網の下の膨らみに刃を突きたてた 


そして ようやく突然の襲撃者はその動きを止めた。









【 2008/11/05 22:35 】

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いきなりファンタジー
まだ暗い部屋の中の 少し硬いベットの中で目覚めた時 

彼女は彼女の半身が死んでいるのに気がついた。


彼女の体の背面 辛うじて3分の一程の厚みを占めたソレは ほんのり冷たくなっていた


文字どうり 彼女の半身 いや 三分の一身が




タミルの村に駆け足でやってきた寒さが 

この小さな村を2・3日で秋の景色に変えようとするかの様に 

珍しく霜をおろした 

まだ夜の明け切らぬ早朝に ひっそりと息絶えたのだ




彼女は起き上がると 

素早くベットから抜け出し すらりと伸びた白い足で ベットの側に揃えてあった靴を履きながら 

短い廊下に出て 端にある梯子を降り始めた。


色褪せた絨毯が敷かれ 色とりどりのクッションが床にいくつも並べられた

居心地の良さそうな居間に彼女が降りると同時に 


半屋外の かまどや調理台が作られてある場所に通じている木のドアが開き


家に入ろうとした中年の女性が彼女を見つけた。 


瞬間、凍ったように顔を歪める




『バーミンダ どこに行くの???』


バーミンダと呼ばれた彼女は まるで目を閉じたら 

その声まで聞こえなくなるかのように硬く目を閉じた


そのまま その女性とは反対側にある 木のドアに向かって走り出していた

大きな木製の衣装箱や背の低い戸棚に足をぶつけながら 

正面玄関らしいドアに行き 大きく開いて 振り向きもせずに家を飛び出した。



娘の着ていた 袖の短い着物のような寝巻きの その袖を掴みきれず

と言っても 気がつくと もうドアから出て行く所だったのだけど


茫然と立ち尽くしていた母親は 


それでも一瞬後には 娘の出て行ったドアに駆け寄り 

風のように走り去った彼女の残像に向かって叫んだ


『バーミンダ 戻っておいでぇーーーーー』


それから 何も知らず まだ寝ているだろう 夫の元に走った




彼女は走りながら 母親の叫ぶ声を聞いていた。

彼女の家から 100mは離れているだろう そこに

ホンのわずかな時間でどうやって辿り着いたのか


走れば走るほど 彼女は自分の体が軽くなっていくように感じた

だがどんなに早く走ろうと 背中に張り付いた半身からは逃げ出すことができない。



私は バーミンダじゃない。

貴方達が バーミンダと名づけた子は 私じゃない。

私が その子を殺してしまった!!!!!!!!




走りながら彼女は

大きな通用門と
 

村の背後にそびえる山の崖の部分以外は


丸木の柱でぐるりと囲まれた この村を抜け出すために どこに行くべきか 


鮮明なビジョンがあった。



前から計画していたわけではない

ただ漠然と もう家には居られない事だけは分っていた 

だが この危険な大地のどこに 彼女の行くべき場所があるのだろう?



先の事は なにも分らない
 
知りたくはない


けれどもう行くしかない。


彼女は村の北側にある切り立つような崖に行くと

一番防壁よりに立つ 一際大きな木に登った


木と防壁の間には約20メートルの距離がある



彼女は大きく伸びた枝の上を慎重に歩いて防壁に近づいた

本当に体が軽くなっているのか 枝が随分細くなっている所まで進めた

それでも壁までは5メートル以上離れているし 

防壁の頂上は彼女の居る枝よりさらに高い


すこし戸惑ったが 枝の上で軽く上下に振動をつけると 

丸木の壁に向かって飛んだ


何もないかの様に見えたが そこには 枝を切り落とした跡がいくつかあり

その一つをつかみ壁にしがみ付くと



ロッククライミングの要領で防壁を登りきった 



そして 


家を出て 初めて深く息をついた 
 

防壁の向こうに広がる荒地を眺めると

 

所々に大きな岩や 小さな林が転々と広がっている


彼女は まだ薄暗い空を 茫然と見つめた。




ふと 気が付くと 空の一部が明るくなっている 


はるか遠くに広がる黒い森の稜線から



日が昇り始めたのだ


一筋の光が走り


それを受けて 荒地に降り積もった霜がキラキラと輝いた。




もし こんなに澄んだ朝でなければ 彼女は家に引き返していたかも知れない


それほど 行く当ては無かった。



ただ 自分は 両親が育てたかった血を分けた子供では無く

その子の体を蝕んで育ってきた者なのだ 


それでも 父も母も その子供ではなく 『私』 を愛してくれていた


だがはたして 真実を知ったなら 自分を受け入れてくれるだろうか?


この体が 人間以外の物になっても?




彼女は 防壁から飛び降りた。

25メートルはあるだろうか 普通の人間なら大怪我をしている高さだ


片膝をついた姿勢で難なく着地していた彼女は 静かに立ち上がると

自分が寝巻きのままだった事に初めて気がついた


『着替え・・持ってくれば良かった』


清らかな朝日に元気を貰う自分は 闇の存在ではないだろうと感じても


存在して良い者かどうか はっきりとした自信は無い。



”先ずは 自分の事を調べてみよう”



家を飛び出してから 初めて旅の目的が決まった。

決まると自然と足が前に出た



あの森を越えたら ガバスという街道沿いの町に出る それから 都まで向かいながら

色んな街で聞いてみよう

きっと自分が何なのか分るかもしれない


彼女は 朝日が昇りきった その下に広がる黒い森に向かって歩き出した。





【 2008/11/05 13:07 】

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