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メインファンタジー(lv7)
㌧㌧


木のドアを叩く音がする


『だれ?』


なかなか眠れず 布団で横になっていただけのアィリーは 素早く起き上がって尋ねた。 



訪問者は しばらく沈黙した後


『セラです』  と答えた


『今日は水かけちゃってスミマセンでした』


『え?・・あぁ あの時の・・・』


『気にしないでいいの あんなの平気よ』


わざわざ言いに来たのだろうか?   宿に着いた時に逢った少年が目に浮かび 思わず微笑んだ

 

きっとゼッツを見て ビックリして水桶を落としてしまったのだろう・・



『それだけ?』


『・・・・・・・・・・・・・・・・いいえ・・・』

『・・・あの時 ホントにビックリしたんです・・・』


また暫く沈黙が続いた


『・・・・・・・・・それで?』


促すと 彼は 少し大きな声でこう言った


『貴女を見た瞬間に分ったんです!!!僕は この人たちと一緒に行くんだっ!!!って!!!』






『へっ(´゚д゚`)??』



『行くって?? 誰と????????』


『どこに??????????????』



『貴方達と 僕の村にです!!!』


『えっ@@??????????????』


『む・む・む・   村って なに????????????分ったって 何が??』


もうビックリし過ぎて 思考回路がついて行かない


なぜ突然 勝手に仲間を決める人間ばかり出てくるのだ???


この国には 行く宛ての無い旅の仲間を探している人間が 実は山程いるのか?


それとも 密かにそーとー冒険好きな国民性だったのだろうか?


『・・・・坊主 お前いくつだ?』


天井から垂らされた布の向こうで いびきをかいて寝ていた筈のダーギーが


いつの間にか起きている


『・・・・・・・・・12です』


『でも 自分の事は何でも出来ます! 僕はずーっと父さんの面倒を見てきたんだ』


『早く帰らないと!!!きっと父さんに何かあったんだ!!!!!』





何か訳有りのようだ 彼の声は今にも泣きそうに聞こえる





訳が分らず かける言葉がみつからない


『お父さん?』




『ぅぅうッ・・・ と・父さんがッ  僕を迎えに来るって ・・・言って・・・  


    コッ こないんだっ』




全部聞くまでも無く ダーギールとアィリーは理解した。 


辺境に生きる人々の暮らしはきつい  


子供を捨てる親は少なく無いのだ。    宿に置き去りにされたのなら良い方だろう



『絶対っ く、来るってッ ・・・・う;ゥッ  イッ イッ・言ったんだっっ』

ウ;ゥッ

『だ・だからっ ぼっぼっ僕はっっ ニッ に2年も・・まってルんだっッ 』




喋ってる内に気持ちが高ぶり 押さえつけていた感情がこみ上げて来そうになる 

   


嗚咽と涙があふれ出そうになったその瞬間 



ダーギーの良く透る のんきな声がそれを抑えた。



『おまェ・・・・・・ 分ってないから泣いてるんだぞ? 何が分ってないか分るか?』




・・・考えるため少年は一瞬止まった




『教えてやるよ    お前は 自分の気持ちが分ってないんだ』




『おまぇの親父が迎えに来たくても来れないんなら 自分から行けばいいだけだし 
 
ウソついたんなら 行ってぶっ飛ばしてやればいいだけだろ?』



『ケツさぇ決まれば 泣くことなんてないんだ

男が泣くときは もっと別の理由があンだよ 』











沈黙が流れた


父親に捨てられた悲しみが 心に突き上げて来るかわりに 

ダーギールのやさしさが少年の上に降ってきて 彼をふわりと包んだ気がした




『別の理由(ワケ)って何でしょうか?』


その声から もう涙は消えていた。



『そりゃーお前 そーゆー涙を流した時分るよーになるんだよ』




『仕方ねぇ・・・・・・・・・・・・行ってみるかぃ?』


ドアの向こうで思わず少年が顔を上げたのが分った


『はいっっっ!!!!』


『おまェなぁ 仲間になりたいんなら そろそろ顔を見せたらどうだ?』


ガタン と音がしてドアがゆっくりと開いた


向こうには 恥かしさの為か うす暗い中でもハッキリ分るほど頬を染めた少年が立っていた


少年は2人を向いて跪き(ひざまずき) 神に祈るように 両肘と額を床につけた


『おぃおぃ!!俺ァあぃにく 礼拝はしないし されない主義なんだ』


ダーギールが 気前悪そうに首の後ろを掻いた




ププッ( *´艸`)


少年と同じように頬を染めた戦士をみて アィリーは思わず吹き出してしまった。





次の日の朝 まだ朝もやの立ち込める中3人は宿を発った。



セラが2年間お世話になった宿屋のおかみさんとオヤジさんにお礼を言い 
(ついでに少ないが餞別も貰って)


子犬が転がるように走ってきて 仲間に加わった

 

殆ど海のように見える湖に突き出した ガバスの港の広い桟橋には

約1ヶ月に一度しかでない 対岸への渡し舟の出港を待ち 

まだ早朝だというのに 沢山の人と出店で賑わっている


停泊しているのは 小さい漁船の他は 古い大きな帆船が一隻で 

長方形の船体はボロボロだが現役の風格で存在感がある 

船底は平たく 両端で上がっていて 龍に似た動物が舳先の意匠になっている



『一人 600バールだよ』 

タバコのような葉っぱを口に入れ クチャクチャ音を立てて噛みながら

対岸までの乗船券を売っている男が 

船賃を尋ねたダーギールに向かって 汚い右手を突き出した



『高ぇ@@!!!!!!!!!』


昨日宿に払ったのより随分大きな金の塊を 2つ男に渡して


ダーギールは 他の3人を振り返り、叫んだ


『おまぇら全員っっ!!! 無一文なんて 旅に出る心構えが無さ過ぎなんだよっっっ』



  

ゼッダールターは、 これもダーギールがついさっき買ってやった 

フード付きのロングコートで 顔を半分隠したまま 笑っている




セラは恐縮してダーギールを拝み


アィリーは 肩をすぼめ舌を出し目をそらした




それを見てダーギールが


『まぁ女と子供以外は 高く売れそうだな・・・』 と言ったので


ボロ船に橋板が架かるまで 彼は その女と子供にボコボコに殴られ続ける事になった



【 2008/11/15 02:58 】

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コメント
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「セラです。」
とうとう私も小説のキャラデビューですか(マテ
ちょっとどきどきしながら読んじゃいました><w
星來 * URL [編集] 【 2008/11/15 18:58 】
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ノックもおね^^;

ごめん;; マジ名前考えるの苦手なの(´;ω;`)ウッ・・

男の子の存在は何年も前から決まってたんだけど

名前は最近あった純粋そうな子のキャラ名から頂きました(o´_ _)o)ペコッ
リサ * URL [編集] 【 2008/11/16 00:44 】
--- ---

純粋だなんて(/ω\)イヤン
ちょっぴり恥ずかしいねヾ(*´∀`*)ノ

名前のことは(・ε・)キニシナイ!!ww
そ~ゆ~時もあるさぁ~☆

はやく続きが読みた~いヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
星來 * URL [編集] 【 2008/11/16 12:24 】
--- 今日も一気にw ---

某○ったりカフェのGMさまと、
せらさんはそろそろデビューかね?なんて話をしてたら…
キターーーー@@
って大興奮しちゃいましたw
知ってる人に似た名前が多いおかげか、
読んでるとその場に居るような気分になれて
すごく楽しいです^^
この先も楽しみにしてますよぉー^^bb
あ、そうそうw
今日の私の書いたブログをぜひ見てやってくださいw
驚きの展開になりましたよ!!w
もう報告したくてたまりませんでしたww
Ruiza * URL [編集] 【 2008/11/16 22:07 】
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>> 星來へ☆彡


ごめん・・・たぶん そんな時もある・・・ ンじゃなくて

ずーーーーーっとそうだと思う・・・(u_u*)

おいらがんがるっ p(><;)q 



>> Ruizaさん・・・・ (*´ω`*)

  泣けるよね・・・・・・(´;ω;`)ウゥ

     ヾ(T∀T*)キニシナイ! 
リサ * URL [編集] 【 2008/11/17 15:58 】
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コメントくれたのと 同じ時間に記事書いてた^^


なんか 私が哀愁感に溢れてたのは

こーゆー事だったからかぁ

って納得しちゃった (〃´・ω・`)ゞェヘ


何となく次の記事の↓に付け加えてます
リサ * URL [編集] 【 2008/11/18 00:38 】
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リサさん、こんにちは~
私も親に育ててもらえなかったので、この展開は
結構身につまされますね~
大きくなってから親元に戻された私にとっては兄弟も親も
親戚の人みたいなかんじだったな~
でも顔はそっくりだからやっぱり親なんだよねーぷぷっ

ゲームの世界ではみんなの顔も見ることが出来ず、画面の向こうで
笑っているのか泣いているのかわからないから、なるべくバカなことだけ
言って、身の回りにおきた楽しいことでも話してすごしていますが・・・
みんな大変な事情の一つや二つはあるんだね~しみじみ

さーて今日は雪も降ったし冬の準備をしなきゃ・・・・
それでは~お話の続きを楽しみにしながら・・・・・
あーあ、熊みたいに冬眠できればいいのにね~
かっぱのコックさんはゆきみでもあるのさっ * URL [編集] 【 2008/11/19 10:25 】
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かっぱ&ゆきみさん


岩手の雪の中に座って居たい気分です

勿論 クリスマス仕様のクッキーと特性ブラウニーを両手に持って!(*´ω`*)


小説苦手なのに 読んでいただいて メチャ嬉しいです。・゚・(ノД`)・゚・。

姫様の居るGチャ・・なつかしいな・・

メイスさんもいい味だしてましたね・・・

実は カッパさんもメイスさんも小説に登場予定なんです(/∀\*)))ニャーン彡☆

カッパさんは チョイ役なんですが 元からあった蜘蛛男の予定だった枠に

入って頂いて

メイスさんはなんとヒロインと出来てしまう役のモデルになって頂く予定です

でも あくまでも予定です^^;

なんか ダーギールが一人で暴走しそうなので困ってますw

もう少し凹んでから 一気に書きマス(`・ω・´)ムキュ!!!

かっぱさんのお菓子のように 素朴で暖かくて 

人間味あるストーリーが書けるるようになりたいなー(u_u*)
リサ * URL [編集] 【 2008/11/20 22:17 】
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